私が勤める工場はカーテンの縫製をしています。
【生地】が【カーテン】になっていく工程
それはまるで命が吹き込まれていくようです。
少し長くはなりますが、今日はその工程をご案内したいと思います。
カーテンは最初、紙管に巻いてある生地からスタートします。
生地は中表になるように紙管に巻かれ(まれに例外もあります)オーダーごとのm数で分かれています。うちではその状態のものを荷受します。
その時点では【生地】です。当たり前ですが、まだ【カーテン】ではありません。
ではどこから【カーテン】になるのでしょう。
カーテンの縫製工程はライン作業になっています。
まず届いた生地は裁断場で裁ち切り寸法にカットします。
それを巾継ぎに廻します。リピート(柄)のあるものは丁寧にリピートを合わせながら巾継ぎします。
そこからは本縫いラインと掬い縫いラインに分かれます。
まず裾巻き。
大体は10cmの三つ巻きですが、8cmや12cmなどのご指定がある場合もあります。
生地によってはシングル折り返しもあります。
広巾のシアー(レース生地)はウェイトテープ仕様が多いです。
そして次に耳巻き。これもスタイルやご指定により巻き巾は変わります。
ここまで縫製が終わったらアイロンでプレスします。縫い縮みをしっかりとならしたり巾継ぎを綺麗に押さえたりする工程です。
アイロンで生地をならしたら次に大きな機械で丈決めの裁断になります。
裾側を吊り上げて、上部をカットします。
ここで丈にプラスするのは芯地の巾と落とししろです。
さぁここまでで工程の半分以上は過ぎました。
んー。
でも、まだカーテンとは呼べませんね。
上部は切りっぱなしの風呂敷のような状態です。
ではでは先に進みましょう。
切りっぱなしの上部に芯地をつけます。決まった落とししろを保ちながら縫いつけていきます。
縫い付け終わったら芯押さえです。押さえ、とは縫い押さえのことです。
芯押さえをしないスタイルもあります。
もう先ほど丈決めの裁断が終わっているので、芯付けと芯押さえで丈の精度が決まります。
慎重に、丁寧に。
ここらへんで少しカーテンらしくなってきました。少し表情が出てきたような気がします。
次の工程は山取り。
必要事項を入力すると機械が瞬時に計算して正確に山を取ってくれますが、機械なので生地を噛んでしまったりというトラブルもあります。
目を離さずに見守ります。
さぁ、山を取ると
もうすっかり【カーテン】らしくなりました。
糸切りという工程では縫いの工程の糸残りをチェックして長いものは切り、フックを差します。
そこから検針器に通して異物がないかの確認です。
プリーツの加工があるものはこれから施します。
熱加工するこの工程はとても暑いので、担当の女の子たちは年中半袖なんですよ。
アイドルのようなので私はプリーツガールズと呼んでます。笑
それではいよいよ最終検品です。
寸法は発注通りにできているか。生地に傷や汚れはないか。外観をくまなくチェックします。
傷は裏から見て初めてわかる場合もありますから、裏側もチェックです。
無事検品を通りました。ほっ。
畳み上げていきます。
ベテランさん2人1組。声出し確認でもう一度仕様通りにできているか照らし合わせながら畳み上げます。
そして丁寧にケースに入れられ、集荷を待ちます。
【生地】だったものが【カーテン】に仕上がり出荷する際、
私はまるでお嫁に行く娘を見送るような気分です。
どんな窓に吊られるのかな。
そこにはどんなシーンがあるのだろう。
これからきっと何年もその窓を彩ることになるんだよ。
しっかりね。粗相がないようにね、なんて。
今日もたくさんのカーテンがお嫁に行きました。
いい子たちです。
よろしくお願い致します。
母より
はじめまして。
私はオーダーカーテンの販売をしています。店の隣に自社の縫製工場があって、心を込めて作っていただいています。
そのカーテンが綺麗に納まって、お客様に喜んでいただけると、本当にうれしいです(^^)
桑原さん
はじめまして!
コメントありがとうございます(*^^*)
ひと窓分のオーダーカーテンがお客様の元へ届くまで、どれだけの人の手と想いがあるのだろうといつも思います。工場にしたら1日に仕上がる何百窓分のカーテンのうちのひと窓だとしても、お客様のたったひと窓の為に、ということを忘れずに丁寧な仕事をしたいと思っています。
カーテンを扱っていらっしゃると思うと妙に親近感 笑
今後ともよろしくお願いします♡